ミナミハナダイ属の1種

幼魚 3cm 八丈島
ミナミハナダイ属の1種 学名 Luzonichthys sp. 撮影者 44
全長8cm。 大瀬崎・伊豆大島・八丈島・須美寿島に分布する。
インドネシアのバンダ島とフローレンス島に生息するオレンジストライプド・ピグミーバスレット Luzonichthys taeniatus に酷似するが、この種かどうかは標本の比較検討が必要です。
また本種は写真のみの記録でしかなく、標本が得られていない現状では未記載種という扱いとなります。
撮影されている3か所の地域では、ミナミハナダイの群れに混在していたり、スズメダイの仲間やキンギョハナダイの群れなどに単独が複数匹で稀に見られるようです。

若いメス 4cm 八丈島
幼魚のときは、全身が赤紫色、海の中では青っぽく見えますが、大きくなると頭部から背面にかけてオレンジ色に染まるようです。
本種の確認は、伊豆半島から伊豆諸島と限られた地域の立てラインで出現しています。この立てラインの一番南にあるのが小笠原諸島ですが、本種が小笠原で確認された記録はありません。
一体どこに生息し繁殖しているのでしょうか。
その謎は、2012年の国立科学博物館による青ヶ島・ベヨネーズ列岩・須美寿島の魚類調査に同行して解明されたのです。

須美寿島
須美寿島のドロップオフ、水深15m辺りから無数のミナミハナダイ属の1種が乱舞していました。
アカネハナゴイとキンギョハナダイもいましたが、ミナミハナダイ属の1種ばかりと言ってよいほどもの凄い数です。本種の出どころはここだったんですね。

メス 5cm 須美寿島
須美寿島のメスと思われる個体です。大瀬崎や伊豆大島、八丈島で見られる個体と同じです。

オス 8cm 須美寿島
こちらは立派なサイズのオスと思われる個体です。体側に青白いラインがあるところから、おそらく婚姻色ではないかと思われます。

オス 8cm 須美寿島
こちらは通常色のオスと思われる個体です。背面近くに褐色の細いラインが特徴のようです。
ミナミハナダイ属は、ミナミハナダイとソメワケミナミハナダイの2種類がいます。本種は間違いなく3種目となりますが、それには標本に基づいての精査が必要と思われます。